遺伝【医師監修】
ニキビの原因としてホルモンバランスなどが関係していることは多くの人がご存じだと思いますが、「私のニキビは遺伝」と言う方は少ないように思います。
確かに大人になって顔中にたくさんのニキビができている人はあまり見かけませんから、そういった意味でも、自分のニキビは親譲りのものなのかどうかわからないですよね。
ここでは「ニキビは遺伝するのか？」という点について、解説していきます。
ニキビの原因は遺伝する？
ニキビのできるメカニズムは？
ニキビは毛嚢という皮膚から毛が生えているところの根っこの部分に毛根を包む袋状のものがあり、これを毛包（＝毛嚢）といいます。ここには皮脂腺というものが付属していて毛包内に皮脂を分泌しています。何らかの影響で毛包の出口が塞がってしまうと、そこに皮脂が貯留します。
炎症がまだ起きていないこの状態を医学的には面靤（めんぽう）、一般的には白ニキビといいます。
皮膚には誰しもアクネ菌が存在しており、共に生きているので常在菌といいます。普段は悪さをせず、適度に皮膚に潤いを与えいい影響をもたらしてくれていますが、アクネ菌は皮脂が好物なので、皮脂が多いと増殖をし始めてしまうのです。
あまりに増殖が多いと白血球がやっつけようとして炎症が起き（この状態を丘疹、赤ニキビなどといいます）、戦った後には膿が溜まります（この状態を膿疱、黄ニキビなどといいます）。
キーワードは皮脂、毛包の詰まり、アクネ菌
皮脂は誰しも皮膚の乾燥を防ぐために分泌されます。しかしその分泌量は年齢や性別、ホルモンバランスなどによって変わります。ホルモンバランスはある程度体質的な所もあるので、この点に限っては遺伝的な要素が関係していないとは言い切れませんね。
しかし、皮脂は小まめに洗い流すことができ、ニキビの予防はできますので生活習慣で防ぐことができる疾患でもあります。
次に毛包の詰まりですが、皮膚の表面は角質という部分があり、その角質の変化によって毛包が詰まってしまう場合や、油性の強い化粧品、洗顔不足などで詰まってしまうことがあります。角質の変化の部分だけは体質的な部分と言えますので、この点だけ同じく遺伝的要素が関係している可能性があります。しかし、その他は自身の習慣で改善できるものですね。
最後にアクネ菌ですが、これは誰の皮膚にも存在する菌です。つまりアクネ菌に関しては遺伝的なことは関係ないと言えるでしょう。
治療は1に洗顔、2に保湿
ニキビの治療は先ほどのキーワードに沿って行われます。
まずは日々の小まめな洗顔で余分な皮脂を落とすことが第一です。皮脂が溜まると毛包を塞ぎ、アクネ菌が増殖する原因を作ってしまいます。
また、洗顔後は必ず化粧水、乳液や美容液でお肌の調子を整えましょう。ニキビ肌だから潤いは足りていると乳液もつけないという方がいますが、化粧水後に乳液などをつけないと時間とともに水分は蒸発してしまい、せっかくの化粧水効果も期待できないのです。
一般的な薬による治療は？
洗顔と保湿で改善しない場合は皮膚科のお薬がオススメです。
角質の変化による毛包のつまりを防ぐお薬があります。アダパレンという薬がありますがこれは毛包の出口の角化異常を抑えることで面靤・白ニキビの発生を抑えるというものです。軽症のニキビでは洗顔とこのお薬のみで治療がなされることがあります。
最後にアクネ菌を過剰に増殖させないために抗生物質を用いて炎症を抑えます。塗り薬と飲み薬の両方があります。塗り薬はクリンダマイシンリン酸エステル、やナジフロキサシンといったものがあります。塗り薬なので皮膚局所のみで効き、副作用が少ない点が挙げられます。アダパレンと併用して治療されることもあります。
飲み薬に関してはレボフロキサシンやロキシスロマイシンがあります。これらは全身に作用しますので痙攣、不整脈、腎障害、肝障害、血液障害、特殊な肺炎、特殊な腸炎、筋肉の障害、血管の障害など様々な副作用をまれに起こすことがあります。そのため重症な例に限って用いられることになります。
【医師監修】アクネクリニック 
院長
皮膚の体質的な部分に遺伝的な関与は若干あるものの、どちらかというと遺伝とは関係ない部分がほとんどを占めることがわかります。つまりニキビと遺伝との関連性は薄いということです。
ニキビは日々の生活習慣で予防をある程度することが出来る疾患ですので、体質的になりやすい方も比較的自身でできる予防策も多いのです。しかし一旦なってしまった場合は見た目がよくないばかりか皮膚の凹凸を残してしまうこともあり美肌の敵です。できてしまった場合は皮膚科などに早めに受診されて生活の指導を受けてお薬を処方していただき、軽いうちに治してしまうことが得策です。
