皮脂【医師監修】
肌が脂っぽいとなんとなくニキビができるような気がしていませんか？実際、増えすぎた皮脂はニキビができる原因になります。しかし、皮脂はただ悪者であるいうわけではなく、皮脂には肌表面を守る働きもあるのです。ニキビと皮脂の関係を知って、正しい皮脂コントロールでニキビを予防できるようになりましょう。
皮脂の量は、多すぎず少なすぎずがベスト。ニキビとの関係とは？
皮脂分泌が増える訳：ホルモン編
皮脂が増えてしまう原因にはいくつかありますが、ここでは代表的なものを紹介します。
1.成長ホルモンの影響
成長期に多く分泌される成長ホルモンには、特にTゾーンの皮脂分泌を増やす作用があります。思春期にニキビが多く見られるのは、この成長ホルモンが深く関係しています。
2.男性ホルモンの過剰分泌
男性ホルモンには、皮脂の分泌過剰を誘発し、さらに角質の柔軟性を失わせるなどの作用があります。女性でも過度の緊張、疲労、睡眠不足などで交感神経が優位になると元々は少量だった男性ホルモンの分泌が促され、皮脂の分泌が高まります。
3.黄体ホルモン
この黄体ホルモンと呼ばれるホルモンにも皮脂分泌の作用があります。生理前になるとニキビが増えるということはありませんか？生理前にはこの黄体ホルモンの分泌が増え、皮脂分泌が増えるため、ニキビができやすくなるのです。
皮脂分泌が増える訳：生活編
1.肌のゴシゴシ洗い
本来、皮脂には外部の刺激から肌を守るための一次バリアという役割があります。つまり皮脂を完全に落としてしまうと、かえって肌の防御力を弱めることになります。また、体の防御反応として、すべて皮脂を落とそうとすると、かえって大量の皮脂が分泌される場合もあります。「適量の皮脂は、肌を守るために必要」ということを覚えておきましょう。
2.バランスの悪い食事
脂肪分の多い食事はもちろんですが、脂質が少なくても皮質分泌に影響する食品もあります。
- ・動物性脂肪・糖質の過剰摂取：動物性脂肪や糖質を多く含む食品には、皮脂腺を刺激して脂肪分泌を促す作用があります。
- ・高GI食：高GI食品とは、食後に血糖値をあげる食品です。高GI食品を食べると、血糖値を下げるためにたくさんのインスリンが分泌されます。このインスリンには男性ホルモンの分泌を刺激する作用があるため、高GI食に偏ると皮脂量が増えると言われています。
- ・ビタミン類の不足：ビタミンB２とB６は皮脂分泌をコントロールする働きがあります。これらのビタミンが不足すると皮脂の過剰分泌を起こす場合があります。
ニキビと皮脂はどういう関係？
皮脂そのものは、ニキビができる根本的な原因ではありません。あくまでもニキビを悪化させる要因です。
体の中でできた皮脂は毛穴から排出されますが、その出口である毛穴が角栓で塞がれると、毛穴の中に皮脂がたまってニキビができてしまいます。
正常な肌ではターンオーバー（周期的に肌表面の細胞が新しく生まれ変わること）が行われているのですが、何らかの原因によってこの毛穴付近のターンオーバーが正常に行われなくなってしまった場合や、異常角化といって角質が硬くなり柔軟性がなくなってしまった場合に、毛穴が詰まってしまいます。
この毛穴が塞がった状態がニキビの初期段階で、ここに皮脂がたまってしまうといわゆる白ニキビになります。ニキビを発生させない、悪化させないためには、この状態でいかに皮脂コントロールをするかが鍵になるのです。
どうやって皮脂の分泌をコントロールすればいいの？
皮脂の分泌をコントロールするためには、皮脂の過剰分泌を引き起こす原因を取り除くことが大切です。
成長ホルモンや黄体ホルモンの分泌など、生理的なものは難しいですが、一方で
- ・ストレスをできるだけ溜めないようにし、男性ホルモンの分泌を抑える
- ・食品に由来する皮脂分泌を避け、規則正しい食生活を心がける
などの日々の工夫で皮脂コントロールの改善は可能です。
また、肌のバリア機能が低下すると、肌は表面を保護するために躍起になって多量の皮脂を分泌するようになります。肌のバリア機能を高めるためには、ゴシゴシ洗いをやめること。そして保湿をしっかりすることもバリア機能を高めるので、夏冬問わず、いつでもしっかり保湿するように心がけましょう。
【医師監修】アクネクリニック 
院長
ニキビができない肌のために、皮脂は多すぎず少なすぎず、適度な量が必要だということがお分かりいただけたでしょうか。
女性は生理前などはどうしてもニキビができやすくなってしまいますが、食生活の乱れに注意し、正しい洗顔、そしてストレスの軽減など、日々の習慣の中で皮脂コントロールできるように工夫をしてみてください。ニキビができないだけでなく、正常なターンオーバーが行われる、美しく健康的な肌を目指しましょう。
